取り組み・活動

広報レポート
2021年09月18日

松竹株式会社配給 METライブビューイング『ルサルカ』を鑑賞してきました

演劇やコンサートを映画館で気軽に鑑賞できる「ライブビューイング」をご存知ですか。ライブビューイングは、コンサートチケットを確保できなかった場合や会場が遠くて観に行けなかった場合でも、近くの映画館で大迫力の映像を見ることができる新しいエンターテイメントです。比較的安価に臨場感を味わうことができるため昨今人気を集めています。

ライブビューイングをいち早く取り入れたのは、ニューヨークにある世界屈指のオペラハウス「メトロポリタン歌劇場(通称:MET=メト)」。「METライブビューイング」と題して2006年に始まったこのライブビューイングは年を追うごとに規模を拡大し、2012-13シーズンは世界64ヵ国2000以上の映画館で上映される大反響ぶりとなりました。

私は今回「METライブビューイング」2013-14シーズンの5番目に上映される、ドヴォルザークのオペラ作品『ルサルカ』を鑑賞してきました。この体験記ではオペラを大スクリーンで観た感想と、映画配給会社松竹様の『ルサルカ』PR活動についてレポートいたします。

※この記事は2014年3月17日にWEBCASサービスサイトに掲載されたレポートの再掲です。

METライブビューイング

「METライブビューイング」日本での上映について

“もうオペラグラスなんていらない”。松竹様はそんなキャッチコピーを掲げ、メトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブビューイングを日本全国の映画館で実施しています。現地での上演からわずか数週間後に日本語字幕付きでリーズナブルに楽しむことができるため、全国のオペラファンはもちろん「ちょっと敷居が高い」と感じている初心者でも足を運びやすく、新しいオペラの楽しみ方として人々に愛されています。今シーズンは2013年11月から2014年6月にかけて10演目の上映を予定しています。

『ルサルカ』ストーリー

ルサルカ
ルサルカ
Copyright (C)Ken Howard/Metropolitan Opera All Rights Reserved.

今回鑑賞したドヴォルザークのオペラ『ルサルカ』は、命をかけて人間に恋した水の精「ルサルカ」の儚い運命を描いた作品です。オペラ版「人魚姫」ともいわれ、ドヴォルザークが手掛けた10作を超えるオペラの中で最も人気のある作品として知られています。

ヒロインのルサルカは森の奥の湖に住む水の精。ある日人間の王子に恋をし、魔法使いイェジババに人間の姿に変えてほしいと懇願します。しかしイェジババの出した条件は、人間の姿をしている間は声を失うことと、もし王子がルサルカを裏切った場合には王子と共に永遠に呪われるということでした。
「それでもかまわない」と人間の姿になったルサルカは森の中で王子と出会います。ルサルカを見つけた王子はその美しさに心を奪われ城に連れて帰りますが、次第に口をきけないルサルカに飽き、外国の王女に心を移してしまう・・・というストーリーです。

ルサルカの切ない歌声を聴き、感傷に浸る

上映時間を迎えると、まずはスクリーンにメトロポリタン歌劇場の客席映像が映し出されました。満員の劇場には上演を心待ちにしている人々のざわめきが溢れており、ニューヨークでの高揚感がスクリーンを通して伝わってきました。
そして歌劇場の幕が上がり、本編へと入っていきます。私はライブビューイングを体験するのは初めてでしたが、歌手の声量や表現力の素晴らしさは映画館でも充分味わうことができ、登場人物一人ひとりから一時も目が離せませんでした。また、オーケストラや舞台美術の壮大さにも感動しました。

ルサルカ
ルサルカ
Copyright (C)Ken Howard/Metropolitan Opera All Rights Reserved.

特にルサルカ役を演じたルネ・フレミングの美声は素晴らしく、第1幕の有名なアリア「月に寄せる歌」を歌いあげると、メトロポリタン歌劇場だけでなく私がいた映画館でも賞賛の拍手が送られていました。実はルネ・フレミングは25年前にMETのオーディションでこの歌を歌ったという過去があり、彼女自身とても大切に想っているアリアの一つなのだそうです。

第2幕では、人間になって声を失ったルサルカが歌を歌うことなく気持ちを表現する場面が続きます。私は同じ女性としてついルサルカに感情移入してしまい、王子のことを愛しているのに伝えられない、そして他の女性に心変わりする王子を黙って見ていなければならない・・・というもどかしさにとても胸が痛くなりました。

『ルサルカ』は水の精の悲恋を描いたメルヘン・オペラですが、ただ悲しいだけではなく人間の弱さや欲深さに焦点が当てられたとても考えさせられる作品でした。第3幕の終盤で、王子がルサルカに許しを請うシーンは忘れられません。

幕間で舞台裏映像・出演者インタビューを流す贅沢な構成

今回初めて「METライブビューイング」を鑑賞して驚いたのは、幕間で流れる映像が豪華すぎるということです。『ルサルカ』は第1幕・第2幕・第3幕でストーリーが構成されており、幕間にはそれぞれ休憩時間があります。「METライブビューイング」はこの幕間で、大規模なステージ転換の様子や先ほど歌い終わったばかりの歌手への舞台裏インタビューなど生の劇場では観られない特典映像を数多く紹介していました。出演者の方々は舞台の上とは全く違うコミカルなトークで笑いを誘っており、こんな特典映像を見られるなんてファンにとってはたまらない!と思いました。また上演終了後もカーテンコールの映像を続けて流すなど、メトロポリタン歌劇場での盛り上がりを余すことなく伝えていました。

METライブビューイング 旬の講演情報が詰まったメルマガを配信

さて、松竹様はこの『ルサルカ』など「METライブビューイング」の上映情報をファンの皆さんが見逃すことがないよう、メルマガを配信されています。メールの配信には、当社のメール配信システム「WEBCAS e-mail」をご利用いただいています。

実際に送られているのは右のようなHTMLメール(HTMLメールの受信ができないお客様にはTEXTメールを配信されています)。オペラには疎い私でも、この鮮やかな画像を見て作品の詳細が知りたくなりました。

今作のメルマガには音楽評論家の加藤浩子氏の解説に加え、『ルサルカ』リハーサル先行映像、ニューヨーク現地メディア評の紹介、指揮を務めたヤニック・ネゼ=セガンのインタビュー、そしてドヴォルザークゆかりの地の紹介・・・と、『ルサルカ』に関する興味深いコンテンツが散りばめられています。

「オペラの知識は皆無だし、観に行ったところで何も理解できないのでは・・・」そんな不安を抱えていた私ですが、このメルマガで紹介されていた記事を読んだおかげで『ルサルカ』はどのようにして生まれた作品なのか、出演者はどのような想いでステージに臨んでいるのかを予習することができ、初めてにしてはなかなか深いオペラ鑑賞ができたと感じています。また、メルマガではリハーサル先行映像も紹介されていたので、ルネ・フレミングの美声を事前に堪能できたのも気持ちを駆り立てる材料になりました。これほどまでに充実したコンテンツを紹介してもらえれば、たとえオペラ初心者でも怖いものはありません。

ルサルカ
『ルサルカ』上映前に届いた「METライブビューイング」メルマガの一部
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新シーズンのラインナップ発表!

今回「METライブビューイング」を初めて鑑賞したことで、私は今まであまり身近ではなかったオペラがとても好きになりました。2013-14シーズンは『ルサルカ』のあとにも素敵な5作品が上映される予定なので、また劇場に足を運んでみようと思っています。

また、すでに2014-15の新シーズン・ラインナップも発表されています。こちらは日本上映の詳細はまだ決定していませんが、日程や劇場が決まり次第、オフィシャルサイト、メルマガ、チラシ等で発表されるそうです。気になる方はぜひチェックしてみてください。
ちなみに私は、今回の『ルサルカ』役を熱演したルネ・フレミングが登場する6作目『メリー・ウィドウ』が気になっています!

※メルマガは、以下 METライブビューイング オフィシャルサイトから会員登録を行った方に配信されます(登録無料)。

ルサルカ
新シーズンのラインナップが発表された時のメルマガ(一部)
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関連リンク
METライブビューイング オフィシャルサイト
松竹株式会社様 WEBCAS導入事例インタビュー