マーケティングコミュニケーションコラム

トップ

【調査】iOS15のメールプライバシー保護機能は、開封率にどう影響する?

メール

【調査】iOS15のメールプライバシー保護機能は、開封率にどう影響する?

【調査】iOS15のメールプライバシー保護機能は、開封率にどう影響する?

こんにちは。メール配信システム「WEBCAS e-mail」のマーケティングチームです。
今回のテーマは「iOS15のメールプライバシー保護機能が開封率にどう影響するかについて」です。

2021年9月21日、AppleからiOS15がリリースされました。iOS15には新機能として「メールプライバシー保護機能」があります。今回は、この機能がどのような動作をするのか、それによって開封率の計測はどうなるのかについて、当社が独自調査した内容をご紹介します。

本コラムは、当社CTOの藤田紀行によるnote『技術調査ラボ:iOS15の「メールプライバシー保護機能」がリリースされたのでメールマーケティングへの影響を改めて調査してみた。』より抜粋してご紹介しています(note公開日:2021年10月7日)。


WEBCASとは?どんなシステム?知りたい方はこちら
WEBCASの製品ラインナップを見る

メールの「開封率」とは

開封率とは、一斉配信したメールを「どの程度の割合のユーザーが開封しているのか」を表した指標で、(開封数÷メール到達数)×100(%)という計算式で算出します。
たとえばメール到達数が1,000件、開封数が200なら、(200÷1,000)×100(%)で開封率は20%となります。

開封率はHTMLメールを配信した場合に取得できます。一般的なメール配信システムでは、HTMLメールの中に計測用のパラメーターが付与されたimageタグ(1×1ピクセルの画像参照用のタグ)が自動的に挿入されます。ユーザーがHTMLメールを開いた際、この画像が参照されることで開封をカウントする仕組みになっています。

なお当社のメール配信システム「WEBCAS e-mail」では、管理画面上から開封数、開封率をリアルタイムに確認できるほか、配信ログをCSVデータでダウンロードすれば「誰が開封したか」までを細かく把握することが可能です。
開封率の機能紹介ページはこちら

iOSのメールプライバシー機能は、ややこしい動作をする

当社が調査したところ、iOS15のメールプライバシー保護機能は、HTMLメール中の画像の取得についてややこしい動作をする3つのケースがあることがわかりました。

A:受信者がメールを実際に開封したので画像の取得が行われる
B:受信者がメールを開封していないがiPhoneが自動で画像を取得する
C:画像の取得は行われない

当社の調査では、比率はA:B:C =2:2:6くらいの割合でした。
(Aの比率はメールの良し悪しによる受信者の反応によって上下します。)

受信者がメールを実際に開封したので画像の取得が行われる

受信者がメールを実際に開封したので画像の取得が行われる

1つ目のケース(2割)

受信者がメールを開封していないがiPhoneが自動で画像を取得する

受信者がメールを開封していないがiPhoneが自動で画像を取得する

2つ目のケース(2割)

画像の取得は行われない

画像の取得は行われない

3つめのケース(6割)

Apple社は iOS15のメールプライバシー保護機能を以下のように説明しています。

たしかに、送信者側は開封取得用の1×1ピクセル画像にアクセスされたことをもって開封したと判断することができません。iPhoneが自動で取得した可能性があるためです。ただし、開封取得用画像への長期間での累計アクセス回数を見れば、メールを見る受信者かどうかの傾向は分かりそうです。

メールを受信したタイミングでもなければ、人がメールを開いたときでもなく、iPhoneが適当なタイミングでランダムにメールの中の画像を取得しに行くことには驚きです。

HTMLメール中の画像の取得については、以下のように変更された

・アクセス有無
受信者が開いた場合、または、iPhoneが自動で取得する場合がある、おおむね2割+2割の4割

・アクセス時間
受信者が開いたタイミングだったりiPhoneが自動で取得するタイミングだったり、まちまち

・アクセス元IP
Appleのプロキシ(CDNを使っているため場所は不明)

・UserAgent(ブラウザの種別)
AppleのプロキシのUserAgent「Mozilla/5.0」(こちらのみで、iOSやiPhoneなどはない)

なお、メールプライバシー保護機能は既定で「有効」になっている、もしくはメール受信時に「有効になるように促される」仕様となっています。結果として、iOS15のほとんどのデバイスではメールプライバシー保護機能が有効になっています。

iOS15のメールプライバシー保護機能により発生するメールマーケティングへの影響

当社が考えるメールマーケティングへの影響は、以下5つです(2021年12月現在)。

①見かけの開封率があがる

たとえばメール配信先の4割がiPhoneで、これまで開封率が20%(例:1000通送れば200通読まれる)であれば、このような分布だったのですが、

届いた数 開封数 開封率
全体 1,000 200 20%
iPhone 400 80 20%
iPhone以外 600 120 20%

今後iOS15が普及するにつれ、下のように変わっていきます。

届いた数 開封数 開封率
全体 1,000 280 28%
iPhone 400 160 40%(20%は偽物)
iPhone以外 600 120 20%

②マーケティングオートメーションでよくある「メール開封しない方にだけ別のコミュニケーション手段(例:DM)でコンタクトを行う」というシナリオは避けたほうがよい

iOS15リリース後、送信するシステムでメールが開封されたと判別したケースには「受信者はメールを見ていない。iPhoneが自動で画像を取得しただけ」という方が含まれるためです。
今後は、メールの中のクリックの頻度、サイトのアクセス頻度、アプリの使用回数、購入回数といったスコアリングに基づいて、コミュニケーション手段を決めていくのがよいのかもしれません。

③HTMLメールで使用する画像について、時刻に基づく動的なバナー画像応答は間違った結果を表示する可能性がある

時刻に基づく動的なバナー画像応答とは、たとえば本日の23時に終了するセールについて
- 12時にメールを見た:あと11時間でセール終了
- 18時にメールを見た:あと5時間でセール終了
- 22時にメールを見た:あと1時間でセール終了
とバナー画像の応答をアクセスされた時刻などに基づき変更する仕組みです。

この仕組みが数%の確率で
- メールが10時に届いた
- iPhoneが13時に取得した:あと10時間でセール終了の画像を取得
- 受信者がメールを22時に開いた:このとき13時に取得した画像が表示され、本当はあと1時間でセール終了なのに、“あと10時間でセール終了”の画像が表示される
と誤作動を起こします。

④HTMLメールで使用する画像について、IPアドレス、UserAgentに基づく動的なバナー画像応答はできない

たとえば、日本からのアクセスとアメリカからのアクセスで応答する画像を変更する、または、WindowsとiPhoneなどデバイスや解像度で返す画像を最適化する、といったことはできません。

⑤ HTMLメールで使用する画像へのリクエストから、メールを読むデバイス情報(UserAgent)の詳細な取得はできない

ただし、UserAgent が「Mozilla/5.0」であれば、Appleのプロキシであることは確実なため、iPhone、iPad、Mac のいずれかと判別できます(デバイスの数からiPhoneとみなすことが多いです)。

最後に

今後は開封率だけでなく、メール本文中のURLのクリック率や、コンバージョン率(資料請求や購買など最終ゴールに到達した率)をより注視するなど、メールマーケティングのKPIを見直したほうがよいかもしれません。

なお、当社のメール配信システム「WEBCAS e-mail」では、誰が、いつ、どのURLをクリックしたかを把握できるクリックカウント機能や、コンバージョンカウント機能が標準搭載されています。ご興味のある方はぜひ詳細ページをご覧ください。

クリック率の機能紹介ページはこちら
コンバージョン率の機能紹介ページはこちら

また、このようなメール配信の環境の変化についてお悩みのある方は、当社WOW WORLD(ワオワールド)までお気軽にご相談くださいませ。

特徴、機能一覧、料金プランなど、
メール配信システムWEBCASの詳細資料(PDF)をご確認いただけます

0120-965-082受付時間 10:00~18:00(土日祝除く)

コラム執筆:株式会社WOW WORLD 浅野 真理子

マーケティングコミュニケーションコラム最新号をメルマガでお知らせ!